議会報告 平成25年度予算特別委員会

大橋図書館や天空公園、ふれあい広場などの大型開発が終了!

~ワクチン予防接種予算計上2億5千万円、安全性に問題は?~

 目黒区の予算編成を見てみると一般会計歳入全般では、特別区税はたばこ税の増により1.4%増になっているものの区民税は前年度比0.1%減となり、区民所得が減っていることがうかがえます。歳出では細かな事業見直しの積み重ねや大橋図書館と公園整備などの大型開発が終了したため、大幅な減となりましたが、子宮頸がんワクチン予防接種の予算計上などの新規事業により、予算規模は前年度比6%減の832億です。今年度は大きな開発事業もなく、区民生活に焦点を絞った予算配分とすべきであり、生活者の視点で予算委員会に臨みました。

人と人をつなぐことが一番の「防災対策」

東日本大震災から丸2年が経ち、細かいところまで対策がとられるようになってきました。食料の備蓄を増やしたり民間協定により避難所を確保したりと進展が見られました。しかし、防災はハードとソフトが備わって初めて効力を発揮するもの。防災訓練も緑ヶ丘小学校が地域と一緒に行ったり、中央中学校2年生が防災キャンプを行ったりと児童や生徒を交えた訓練を行うなど工夫はみられてきましたが、まだまだ十分ではありません。地域やNPOなど、何れかのコミュニティに所属することで孤立を防ぎ、その点在するコミュニティ間のネットワークをつくり、どこかで人と人がつながっていることが重要です。

住民活動を応援する寄付・助成制度を作るべき

基本方針の「ふれあいと活力あるまち」の予算計上が0であることは問題です。「NPOの寄付控除が実現したことでNPOの活動が社会に重要で必要な役割として位置づけられた今、目黒区はもっと住民活動を応援すべき」と主張しましたが、理解されませんでした。個別の地域課題を解決するために専門性を持ちながら継続的な活動をしているNPOの役割を区長がイメージできないのは残念です。緩やかなネットワークでつながる多くの区民の方々の力を地域の力として発揮できるような仕組みを整えることが必要です。

パブリックコメントだけでなく無作為抽出をもとにした市民会議を!

目黒区は多様な区民の意見を吸い上げ、区政に反映させようとしないため、一歩踏み込んだ無作為抽出による市民会議を提案しました。過去に一度やったことはあるとのことでしたが、かなりの労力を伴うことと議会との関係も難しいことを理由にやるつもりはないようです。区報の存在も区民に十分に知られていない中、区報とHPだけに頼る「パブリックコメント」では十分ではありません。やはり、多くの市民の参画で施策の方向性を検討する「(仮)市民会議」が仕組みとして必要です。

 子宮頸がんワクチン副反応  杉並区で重篤症状あり!

国は定期接種化されるヒブ・小児用肺炎球菌、子宮頸がんワクチンなどの予算計上約2億5千万円(その内子宮頸がんワクチン3千8百万円)に対し、年少扶養控除廃止により浮いたお金を充てるとしています。目黒区の準備状況を質問したところ、区長は答えず健康推進部長が「法案が通れば法にのっとって行います。」という回答でした。

副反応については、目黒区内の症例報告はないものの保障制度は整えていました。しかしその保障制度は独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が実施する医薬品副作用被害救済制度と予防接種事故賠償補償保険であり、死亡や後遺症が残るなどの重篤な症例のみの適応でしかありません。症例の報告義務がない現状では医師が全体を把握することはできず、ワクチンとの因果関係を証明することができないため、補償には結びつかないのです。

また、ワクチンの効果は6.4年といわれていること、検診と予防接種はセットでなければ効果がないということを考え合わせると、13歳で接種を受けた場合は20歳前に再度接種する予定でいるのか、検診率を他先進国並みの80%(現在20%)にするための努力と予算を付ける予定があるのか等質問しましたが、国の動きを注視し、言うべき事は国に意見を出していくということだけでした。

もともと導入時から気がかりの多い子宮頸がんワクチンですが、ワクチンの効果に対する疑問と副反応の不安があること、接種と検診はセットでなければ意味がないこと等を知らずに安易に接種している中学生が多いのが現状です。接種後、歩行困難、記憶障害、全身をかけめぐる痛みと症状は様々ですが、回復不明な副反応がありうることをきちんと認識した上で接種できるよう、そのための情報提供を求めました。結果、来年度からの医療券配布の際、しおりをつけることとなりました。

性教育、ジェンダー、製薬会社の偏った情報、医師への副反応報告が義務付けられていないこと、副反応被害者の救済未整備、治療サポート体制未整備、副反応追跡調査未実施とワクチン予算を決める前に議論して整えないといけないところが全ておきざりの形での子宮頸がんワクチン定期接種化が進められています。さらに議論を深め、正しい情報を整えていくべきです。

 子育て支援のワンストップサービス「保育コンシェルジュ」が必要!

平成25年度の保育所待機児童対策は、私立認可保育園支援2園、保育園定員拡大、4,5歳の定員空きに1,2歳児を入れる「定期利用保育事業」と駅前に認証保育所移転支援と160名の定員増となりました。しかし、毎年、入所希望者が増えているため、保育所を増やしても待機児童は解消できない現状があり、保護者により近い距離でサポートしていくことが必要です。そこで保護者のニーズに沿ったサービスを選択できるよう「保育専門相談員」として、横浜市で導入した「保育コンシェルジュ」を子育て新システム導入にあたり目黒区でも取り入れるよう提案しました。

 学校支援地域本部事業を導入しよう!

社会は急速に多様化し、子どもを取り巻く環境も複雑で学校だけでは抱えきれず、教職員は子どもとじっくり向き合う時間がとれなくなっています。そんな状況を緩和するには地域の様々な人材が学校活動や放課後活動、家庭への支援も含め、学校を支えることが求められています。また子どもはどれだけ多くの大人(価値観)と接したかがその後の生きやすさ、人間性の豊かさにつながっていくと言われています。そのことを実現する制度として学校ボランティアをはじめ、学校と地域、家庭が連携協力するための「学校支援地域本部事業」を提案しました。しかし、目黒区は「住区住民会議という他区にはない制度があり、そこの青少年部と学校は密接に繋がっているためこの制度は必要ない。」という答弁でしたが、住区住民会議だけに負担を押し付けるわけにもいきません。地域で学校を支援するためにはやはり、広く人材を把握し、地域と学校、家庭を支援できる「もう1歩踏み込んだ制度」が必要です。