「東京ストリートカウント」市民参加型夜間路上ホームレス人口調査に参加して

2017年8月4日、ARCH(アーチ。Advocacy and Research Centre for Homelessnessの略称)主催により「東京ストリートカウント」が開催されました。当日は、深夜にもかかわらず200人を超えるボランティアが集まり、東京都内11区(渋谷区・新宿区・豊島区・文京区・千代田区・中央区・台東区・墨田区・港区・品川区・目黒区)の夜間路上生活者人口調査を行いました。
ARCHは、東京工業大学の研究者や学生、NPOメンバーなどが中心となり2015年10月に設立した団体で、調査研究やアドボカシー(政策提言)、キャンペーンを通して、ホームレス状態の解決に取り組み続ける優しい社会、優しい都市の実現を目指しています。
2020年の東京オリンピックを契機に、見守りあい、支えあえる社会の実現と路上生活者の方たちの住まいと働く場につなげるための支援の仕組みを浸透させることが短期的な目標です。今回はその目標を実現するために「東京ストリートカウント」を行い、夜間に路上生活をしている正確な人数を調査しました。(2016年の調査では東京都が同時期の昼間に実施した調査結果と比べ、2.8倍も多くの路上生活者を確認しました。)

私は目黒区の調査班に加わりました。夜中の12時半、渋谷集合と身体には少し酷な調査でしたが、得るものは大きく、自分の持つホームレスイメージがガラリと変わりました。
お風呂にしばらく入っておらず、髪は伸び、ゆっくり荷物をもって歩く。調査するまではそんなイメージでした。しかし、実際には水で体を拭き上げ、髪は短く、荷物はリュック1つ程度です。なによりも驚いたのは半数以上が携帯を所持していることで、時代の変化を感じました。(携帯電話の契約は通帳があればできるそうです。)
また、路上生活をしている人があえて警察の近くや車の往来が途切れることのない幹線道路の高架下などに寝る理由は集団暴行から身を守るためという事を知りました。一見外から見ると自由で過ごしやすいところに身を置いているようですが、過酷な状況下にいることは間違いなく、病気やケガ、ストレス等などに直面すると命の危険にさらされてしまいます。やはり、何らかの見守りや支援体制は必要だと実感しました。

今回の調査に参加して、改めて都市の在り方を考える機会となりました。けがや病気、失業など様々な要因で、制度から取り残されて行き場を失った人々が「ホームレス」状態に陥ってしまい、そこから抜け出すにはたった一人では困難であるため、専門機関や地域社会の支援が必要です。自分たちは地域の中で何ができるのかを考えていきたいと思います。