各地で引っ張りだこの田中さんはこの日3回目の講演だったのですが、立ち見も出るほどの満席状態で人々の関心の高さが窺えました。
内容は原発事故の分かり易い検証から現在の放射能飛散状況、電力会社のカラクリと進み、放射能の対処法、今後のエネルギー問題へと移っていきます。
たくさんのアイディアを交えながらの最後の提案は明るい未来が予想できるもので、元気が出てくるお話でした。
現在の放射能の飛散状況
「3.11から日本人は別な世界で生きることとなった」
という田中さんの最初のフレーズは私たちに実にいろいろな事を考えさせます。
その日を境に日本は別な日本になったのですが、それを受け入れられない、いや受け入れたくない日本人は私を含めたくさんいるのではないでしょうか?
地震の直接的被害がなければ目の前の日常は何ら変わりはありません。
地震直後は非日常でした。時間が経つにつれて日常が戻りつつありますが、依然と目に見えない放射能は自然界に飛散しつづけているのです。
前例がない事態で専門家も少なく、測定も難しいので皆が試行錯誤している状態。
「3月15日、21日の2日間で東京は被爆した」と緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI(スピーディ)」の写真を見せながらの説明。
ちょうどその頃は選挙前で駅に立ったり、街を歩いたりずっと外にいたことを思いだしました。
それ以降の大量放出はないため、今注意するのは半減期が30年のセシウム134、137。
「セシウムはほこりにつきやすく、筋肉と子宮に集まりやすいため、子どもや若い女性は風の強い日は
花粉用マスクをして水に濡らしたガーゼを内側につけるのがいい」とのアドバイスがありました。
食に関する放射能
「ただちに影響は出ない」このフレーズを震災後何回耳にしたでしょうか?
最近では牛肉からICRP(国際放射線防護委員会)の基準値を超える放射能が出て、市場に出回った牛肉を食べても「ただちに影響は出ない」と言っていました。
影響がでるのは5〜10年経ってからだと言われ、確率も交通事故とあまり変わらないとも言われています。私たちは交通事故に遭いたくないのでスピードを控えたり、左右をよく見て横断したりしますが、放射能は避けようがないため、個人で出来るミクロ的な配慮から国が行うマクロ的な配慮まで最善をつくすことは言うまでもありません。
特に今回の講演会にはたくさんの子連れのお母さんが参加しました。気になるのはやはり「食」です。「日本の摂取制限に関する指標値は甘すぎる」と他国の基準と比較しながら田中さんは指摘します。学校給食にも触れていましたが、これからしばらく続くこの状況を考えると、放射能の観点からも給食のあり方を見直して行く必要があるのではないでしょうか。
これからの新エネルギー
「これからの新エネルギー推進は、まず節電をして総電力消費量を減らしてから自然エネルギーにシフトするのがスムーズ」だと田中さんは力説します。
また、「全電力の内、家庭が占める割合は23.4%、ピーク時だとわずか9%です。まず産業界が電力を使うほど単価が安くなる現在のシステムを変えるべき。夏場のピーク時10時間だけが1年間で電力が足りなくなるのだからフランスのようにピーク時だけ10倍高い料金にしたり、アメリカのように登録家庭を1時間に5分の割合で停電させていく等方法はいろいろある」と田中さんは言います。
電力供給時に合わせて電気を作ったり、電力会社を優遇するシステムに問題があるとわかった今、これからは送電線を電力会社から切り離して公が管理し、様々な発電が地域の中でできるよう進めていくべきで、今後は風力発電、地熱発電、スマートグリットを増やしたりと、日本は新エネルギー分野で台頭していくのが望ましいとも田中さんは言ってます。
今、放射能対策でやるべき事は自分の立場でできる事に最善を尽くすということ
まずは野菜や藁が人間より先に放射能を吸収してくれているのだから、拡散させずにしっかり管理して、なるべく早く土壌汚染から土地を回復させることが急務だと言えるでしょう。
国は未来を見据え、早急に制度を整えていく必要があります。私は区議会議員として行政に対し提案をしていきます。
そして、放射能にかかわらず、生活環境を良くするために、子どもたちの未来を守るために、人と話し、知恵を出し合い、地域活動や市民活動を共にしてきた仲間たちと新たな仕組みづくりをしていきます。