九月議会

9月9日から始まった第三回定例議会と平成22年度決算特別委員会が9月30日で終りました。以下が最終日の賛成討論です。
私は、議案第41号平成22年度一般会計歳入歳出決算について生活者ネットワークの区議会議員として賛成の立場から討論いたします。

平成20年のリーマンショックを発端に世界中に不況が広がり日本の経済も急速に落ち込み、急激な円高、株価の大幅な下落を引き起こしました。

平成22年はその結果雇用情勢や中小企業は悪化し、低所得者は家計を圧迫され、自殺者が増え、又社会構造の急激な変化で孤立する人が増え孤独死や虐待など、他にも沢山の社会的問題にあふれていました。

そんな最中に起こった3.11の東日本大震災と原発事故。日本人の根幹をゆさぶるような大きな出来事でした。
この出来事は歴史的にも重く、日本人の価値観を大きく変えていくことになると思われます。
便利で快適、そして物質的に豊なことが幸せだと捉えていた私たちはお金で買えない本当の豊かさとは何なのかもう1度真剣に考える必要性に迫られています。

倒産や合併、早期退職制度、派遣切りとどこのハローワークも連日大勢の人であふれていました。また若者の就職難も話題となり、電車に乗るたびに就職活動でくたびれはてた学生を沢山目にしました。そんな状況下でのワークサポート目黒の役割は十分果たせたのか、基礎自治体だけの力では難しいこともあったかと思いますが検証して今後に活かしていくことも大切です。
「区内中小企業等支援」と生活支援策として実施された「暮らしサポート22」は急激な経済悪化の対応策として取り組んだことは有効だったと考えます。
孤立した高齢者や子育て中の親子に対するものとして高齢者見守り事業と、子育てカフェはまだ実験的ではありますが広く普及させていくべきです。

また、学校にまつわる様々な問題をサポートする学校サポートセンターの役割も今後ますます必要となってきます。とりわけ、スクールソーシャルワーカーは、たった一人の配置でしたが、福祉と教育をつなぐ役目として大きな役割を果たしています。これにより、学校現場だけでなく、子どもたちや保護者の方も救われたのではないでしょうか。 今後の展開に期待します。

震災後に行った節電対策、放射能対策、被災地支援は、日本全体の課題であり、目黒区においても 重要な課題であるため財政難ではあるが生命にもかかわることなので真剣に取り組んでいくべきだと考えます。

このような22年度でしたが重点目標に向けるビジョンがなかなか見えにくかったこともたしかでした。平成22年度決算では昨年度に続き区税収入が大幅減、経常収支比率が97.5パーセントと昨年度よりさらに悪化しました。そのため、23年度にはアクションプログラムに取り掛かりますが、経済の好転が期待できないため経常経費を抑えていくことが今後必要となってきます。人件費削減や施設見直しをアクションプログラムの中に盛り込んでいますが、数字合わせのみの対策ではなく、その運営やお金の使い方に目を向けていかなければなりません。
人々の力は宝であり、公の施設は区の貴重な財産のはずです。大震災の時にも、帰宅困難者の受け入れや区民の方の不安を解消する避難先にもなりました。その公の施設の役割を、もう一度検証していく必要があるのではないでしょうか。
安易な削減ではなく、区の重点課題を解決していくためにどうするか、今後のまちづくりを見据えてどうお金を動かすか、にかかってくるのだと思います。

震災で気づかされた本当の豊かさや幸せを求める10年後を見据えたまちづくりをしていかなくてはなりません。
人間は人と人との関係で幸福を感じるといわれています。物だと手に入れた時だけの幸福ですぐに消えてしまいます。
人との関わりには面倒なことや理不尽なこと不愉快なこともあります。しかし、嬉しいこと、刺激的なこと、心温まること、感動することもあります。現代社会の大きな問題の1つ、孤立は前者を避けるあまりに後者も体験できなくなりどんどん心身共に病んでいくことになっているのではないでしょうか。
そんな社会の課題「孤立」を防ぐためにも問題解決に取り組んでいるコミュニティ(ボランティア団体など)の存在はとても大きなものです。現在、目黒でのNPOなどの存在は少なく、また、継続しにくい状況となっています。そんなボランティア団体を助成事業として育てていくこともとても重要な事です。
子育ての「孤立」を防ぐ取り組みとしては平成20年改正福祉法による地域子育て支援拠点事業
(ひろば事業)があります。
この法律では地域子育て支援拠点事業とは厚生労働省令で定めるところにより、「乳児または幼児及びその保護者が相互の交流を行う場所を開設し、子育てについての相談、情報の提供、助言、その他の援助を行う事業をいう」とされています。
親子の絆は第3者がいるからこそ健全な絆が形成されると言われています。
人間の根幹ができあがる0,1,2,3歳の時期に親が子どもにしっかり向かい合えるように地域がサポートしていく必要があると考えます。
現在目黒区では待機児童対策のための保育園拡充に力をいれていますが、全国的に乳幼児をもつ母親の4人のうち3人が家庭保育をしており、特に育休を産後1年は取る方が多い目黒ではこの広場事業の役割は大きいと思われます。
待機児童対策と家庭保育対策は車の両輪であることが望ましいとも言われています。
現在、目黒区では保育園や児童館などでひろば事業が行われています。広場は親同士、子ども同士、親と子ども、親と地域、子どもと地域をつなぐ場所とされています。
今後、子どもを中心としたゆるやかな地域のネットワークが形成される可能性をはらんでいるひろば事業を保育園や児童館だけでなく、公園や商店街の空きスペース等、さらに自宅の空いたスペースや庭など、様々な場所で市民の力を発揮できる形で行ってみるのも必要ではないでしょうか。そうすることで、地域の中で多様な人びとのつながりができ、まちが豊かになるでしょう。

今回の大震災でも人と人のつながりが見直されていましたが、本当の安心・安全のまちをつくるのは人のつながりです。これからは、多様な人のつながりができるような仕組みを整えていくことが重要になります。
未来の目黒をどのようにしたいのか!しっかりしたビジョンを持ち、区民に具体的でわかりやすく説明・発信していくことが重要です。ソフト面に目を向け、議論を重ね、庁内、全員が一丸となることを期待して、私の討論といたします。
                                                      広吉敦子