18歳選挙を前に考える みんなのシティズンシップ教育

2016年4月11日
東京・生活者ネットワーク子ども部会主催 小玉重夫(東京大学)先生による
「18歳選挙を前に考える みんなのシティズンシップ教育」を聞いて

若者の投票が日本を変える

平成27年6月の公職選挙法の改正により満18歳から投票できるようになりました。平成28年6月19日の施行後に初めてその期日が公示される国政選挙(この夏に参議院議員選挙が予定されている)から始まります。
法律が改正されても、現状のままでは若者の投票行動に結びつくとは考えにくいと予測し、学校教育に「市民として必要な素養を育てる教育」=「シティズンシップ教育」をカリキュラム化しました。しかし、既に教育基本法14条に「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない」「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」と明記されているのです。
教育基本法に明記されているにもかかわらず、「シティズンシップ教育」が教育の現場から遠ざかったことにはいくつか理由があります。日本の学校教育が知識の習得に重きを置いてきたこと、政治教育を中立化するため「中立」が取り違えられて政治教育を非政治化するようになってしまったこと、などです。その結果、シティズンシップを発揮するために必要な力、つまり有権者になったときに社会を担う自立した人として判断する力を身につける機会が得られませんでした。
現在、既にいくつかの学校では政治教育や模擬選挙、模擬投票、模擬議会等様々な取り組みがされていますが、総務省と文部科学省の連携により高校生向け副教材として「私たちが拓く日本の未来」が作られ、小学校でもまもなく本格的に政治教育が実施されます。
今後は家庭、地域、学校、企業、NPO等が協力して、子どもが小さいうちから「シティズンシップ教育」を受けられるよう働きかけます。