15の分科会に分かれ、私は「子ども・若者・地域が支え合う施設空間〜市民がつくる寺小屋・廃校利用〜」に参加しました。
3つの事例発表がありました。
1、 兵庫県但馬地域の生きづらい若者の現状と就労支援
2、 高知県高岡郡の小学校の廃校を利用した100人の村のまち興し
3、 子ども劇場母体の京都府山科醍醐の空き店舗を利用した子どもの生活支援
1、 の生きづらい若者とは学校にも仕事にも訓練にも参加していない若者(ひきこもりも含む)。学校卒業後無業になる若者。就職してもすぐに辞めてしまう若者。そんな若者が全国に63万人いると言われています。
またひきこもりの3割が発達障害だと言われています。
厚生労働省がニート、若者無業者を支援する委託事業として「若者サポートステーション」を全国110箇所に設置していますが、このプログラムだけでは全ての人の進路決定に繋がらないのが現状です。
そこで但馬地域では若者サポートステーションの支援後に訓練をすることで社会性や職業訓練の機会をつくっています。これが職業意識の向上につながり、地域の中での役割を少しづつ任っています。
ここ豊岡市但馬地域ではコウノトリの野生化で有名です。
若者は米、野菜、みそ、菜種油、鹿肉づくりに参加したり、介護2級ヘルパーの資格を取って介護を行ったり、草刈、雪下ろし、輸送、透析等様々な所で働いているようです。
まずは生きづらい若者に寄り添うスタッフがいて、その人たちが若者と地域をつなげ
地域と一緒に若者の役割を考えていく。このことはこれからの日本各地で取り組まないといけない課題だと受け止めました。
2、 では、集落消滅の危機感から廃校をリニューアルさせて居酒屋、集落コンビニ、食堂、貸し教室、ホール、浴場、宿泊施設を作り、村民同士、村民と旅行者が交流し、新しい活気ある村に生まれ変わりました。
この事業の注目すべきところは人口100人の村の半分が高齢者でその方たちの働く場を作ったこと。例えば集会所でシシトウ(野菜)の袋詰めという作業ですが、おしゃべりしながら楽しくでき、規則正しい生活にもつながり、医療費、介護費が減ったとのことです。いろんな年代が交流する場、高齢者も働ける場は、どこの地域にも必要な場だと思います。
3、 の京都での子ども生活支援はかなり課題を抱える地域での取り組みで、スクールソーシャルワーカーをしていく中で教育と福祉だけでは支えきれない貧困、虐待家庭を目の当りにし、地域の力モデルプログラムをNPOの中で作り、広げていった事例です。夜、家で、1人で過ごす中学生のためのトワイライトステイと朝食提供サロン。夜、家で、一人で過ごしている小学生のための月2回行われるボランティア学生との空き別荘での通学合宿。他にも子育てひろば、ジュニアキャンプ、創作劇、わんぱくクラブなどたくさんの事業を行っています。注目すべきは行政に頼らず、寄付、企業、ボランティアで行い雇用につなげている点です。支援された子どもが他の活動のボランティアをするなど変化が起きると、親も変わり、それを見たボランティアの学生が変わっていくという、とても良い循環となっている事例でした。
今回はこれら3つの事例紹介を聞いて、地域が抱える課題に気づいた市民が当事者と地域とスタッフを繋げ、地域が力を発揮して課題にしっかり取り組んでいけば課題も解決し、何よりも地域力アップにつながるのだと思いました。
現在、目黒も子育て世代や高齢者の孤立、小・中学生の不登校、ニート、ひきこもり等たくさんの課題があり地域力の低下とともに語られています。東日本大震災以降、人と人とのつながりが見直され、今回のフォーラムでも人が課題に対し具体的に動くことで地域や人々が変わっていく様子がわかりました。今後は地域が主体となって現状に即した問題解決につながるよう、人々がつながり合い、様々なコミュニティができるような仕組みづくりに取り組んでいきます。