被災地視察・・・宮城県・仙台〜石巻〜気仙沼〜岩手県・遠野〜宮古へ  

平成24年7月17日から2泊3日、東京・生活者ネットワーク主催による被災地視察に生活者ネットワークの仲間たちと行ってきました。震災後1年が経過した今、現地の瓦礫処理の実態を自分の目で見てきました。自治を応援する視点で東京にいる私達には何ができるのか、何をすべきなのかを見出す事が視察の目的です。

【石巻ブロック災害廃棄物処理施設を見学して】
今回の視察で一番印象に残ったのは石巻ブロック災害廃棄物処理施設と遠野市の後方支援です。
東日本大震災による災害廃棄物は、主に岩手県、宮城県、福島県3県で発生しました。その3県の中で宮城県の災害廃棄物の量は他2県を合わせた量の約2倍。その宮城県の半分の災害廃棄物処理を行うのが石巻ブロック災害廃棄物処理施設。ここが一番規模の大きい処理施設だといえます。宮城県は行政ダメージの大きかった12の市町から委託を受けて石巻の他、気仙沼、宮城東部、亘理名取と4つのブロックに分けてプロポーザル方式で共同企業体(JV)に一括発注して処理を行っています。各市町で災害廃棄物を収集して瓦礫の山を作り、それを一次仮置き場に運んで重機による粗選別、機械粗破砕してリサイクル、売却、外部処理するものを除きます。岩手、宮城県の殆どの市町がここまで完了しています。残った災害廃棄物は県に委託され、二次仮置き場に収集搬送されます。再度、重機による粗選別、機械破砕して2次選別(リサイクル)されます。可燃物は焼却され、津波による堆積物はリサイクルや洗浄され港湾埋め立てにと処理されます。この二次仮き置場である石巻処理施設ではとてもシステマティックに工程が組まれ情報通信技術を駆使しての搬送車管理や人間と機械による丁寧な選別、むき出しの巨大な焼却炉5基で1日に1500トン処理されていきます。地元雇用も考慮され1日1250人を雇うことを目標にしているそうです。しかし余りにも広大な施設のため人の姿はあまり目にすることはありませんでした。
つい1年前まで日常を彩っていた様々な思い出の染み込んだ生活用品はこの処理施設の中に入ると廃棄物として機械的に処理されて綺麗に片付いていきます。やりきれなさに言葉もなく、早急に一次仮置き場から海岸線の住宅地から離れたところに設置されている二次仮置場に災害廃棄物が搬入されて、迅速に処理されることを願います。
なお、行政機能のダメージが少なかった仙台市では、地元企業の活用による地域経済の復興、自己完結型の瓦礫処理が行われ、今回前倒しで処理が完了する見通しがたったことから、石巻の可燃物を10万トン受け入れることが可能となっています。現地での廃棄物処理は可能であり、透明性を高めた早期処理が進むことが最も望ましいことだと感じました。
目黒区では、8月1日より14日まで受災害廃棄物を受け入れることとなりました。受け入れ自治体として一部事務組合にゆだねてしまうのではなく、区としても条件や焼却による排ガスの管理、放射能数値はしっかりと把握していくべきであり、今後も注視していきたいと思います。
次回は東日本大震災で偉大な力を発揮した遠野市の後方支援のレポートを掲載します。
                    広吉 敦子